溺愛キング

我慢


矢耶side―――――*―――――


閉まったドアを振り返って見た。

藍は追いかけて来ない。

なんだ、ちょっと残念。

もしかして、やり過ぎたのかな?

藍、拗ねたのかな。

けど、一週間だもん。

そんなに長くないよ。

藍も大げさだよ。


チラッと時計を見た。

もう、夜中の2時だ。


『うわっ、こんな時間?!寝ないとヤバいよ!あ!海亜とかにも連絡…』


携帯をリビングに置いてたのを思い出した。

取りに行くの、やだ。

藍に会っちゃうし。

うん、寝よう。

疲れちゃったし、寝るのが一番!


布団をめくり、ベットに入った。

キングサイズのこのベットは一人で寝るには大きい。

隣に藍が居ないのは変な感じ。


なかなか寝付けなくて、ゴロゴロしていた。

すると、


ガチャ―――…


藍が入ってきた。

多分、もう一度お風呂に入ってきたのだろう。

藍から微かにシャンプーの匂いがした。


藍はベットに入るなり、反対方向に向いていた矢耶をそっと、自分の方へ向かした。


ちょっとドキッとした。

寝てないこと、バレた?


「矢耶…ほんとにごめんな。せめて寝る時だけは抱きしめさせて」


……………。

なんだろう。

モヤモヤする。

< 186 / 269 >

この作品をシェア

pagetop