二重人格神様

龍神様






――――――…
―――…



「…へぇ、そんなことがあったの。いーちゃん、それはね、きっと龍神様本人だと思うわ」


「………え」


その日の夜


夕食をご馳走になり、おばさんは大きな西瓜を用意してくれて


二人で食べながら、買い物途中に出会った男の人のことを話していたのだ



「龍神様?あの人が?」


「えぇ、そうよ」


西瓜を豪快にかじり、種まで丸のみに飲み込みおばさんはニコリと笑う



「その人、異様に雰囲気とか穏やかだったでしょう?」


「あ…はい」


不思議な雰囲気だった。そこには初対面なのに怖さを感じない


だから、ついついて行こうとしてしまったんだけど


「その彼ね、実はたびたび目撃情報があるのよ」


「……?」


ガタンとテーブルを叩きおばさんは身をのりだしながら口を開く


「町の中では銀髪の美形って有名なのよ」


「そ、そうだったんですか?」


「そうなのよ!どこの誰かも分からない。けれど、たまに現れて、街の人達に色々と警告して消えていくのよ」


「………」


そう言い、横になりながらテレビをみるおじさんの様子を伺うようにチラリと見つめ声をひそめる


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