いつか、眠りにつく日

2、

 ふたりから助けを求められた私とクロは、とりあえず本拠地であるモデルルームに彼らを招くことにした。


 男の子は精神が不安定らしく、寒さで震えっぱなしだった。

 モデルルームなのでエアコンはつかず、私たちはベッドルームに男の子を連れて行った。すると、彼は一目散にベッドのかけ布団の中へともぐりこんでしまった。

「出ておいで」
と声をかけても、まるで拾われていた子猫のように警戒して隠れているようだった。

「ほっとけ」
クロが呆れたように言う。

「名前は?」
私が男に尋ねる。

 
「あの子の名前は村松涼太といいます」


「お前の担当なのか?」
クロがあぐらをかいてベッドの下に座る。

「そうなんですよぉ、でもおふたりのおかげで助かりました」
 案内人はクロの前に正座して頭をさげた。



 


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