プライマリーキス 番外編&溺愛シリーズ

(8)おねだりする方法 <美羽>

 片付けを終えて支度を済ませる頃には、お昼近くになってしまっていた。

「今夜は和食にしましょう? 私が作ります。それで、マーケットに出かけたいなって思ってるの」

「いいよ。せっかくならノッティングヒルへ行こうか。近くでランチをしよう。猫連れっていうのが面倒だけどね。テラスのあるところならOKだろうし」

 なんだかんだ言って、猫が一緒でも入れるお店を考えてくれている潤哉さんは、やっぱり優しい。

 でも、機嫌が直ったわけじゃないみたい。

「あ、そうだ。お魚を買ってきてあげたらどうかな」
「結局、猫中心か」

 上司のご機嫌とりするのも、秘書の立派な役目だと思う。
 家の中でもそれは変わらない。大抵は私のしようとすること、潤哉さんには悟られている。

「せっかく、思いついたのに」
「分かってるよ。落ち着いたら出よう」

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