プライマリーキス 番外編&溺愛シリーズ

(11)ファーストキスをあなたに

 桜の季節も過ぎ去って、新緑が眩しく輝きだす頃。
 妊娠7カ月に入り、会社に半休もらって定期健診に行ったときのことだった。

 前回の検診では、まだ微妙なところだから性別判定は次かなぁ、と医師に言われていて。
 
 北千住にいる母からも、男の子はシンボルがあるから判定は早いけど、女の子の場合はなかなか遅いと思うわよ、と聞かされていた。

 早い段階で「性別をお伝えしましょうか?」と聞かれたときは、たいてい男の子らしい。

 だから、もしかしたら男の子かな、と思っていたのだけど。


 この頃の医療は母の世代よりもずっと進んでいて、4Dエコーで確認した結果、しっかりと女の子の形を見つけたらしい。

 ジュネーブから戻ったばかりの潤哉さんと合流して、ちょうど検診が終わったあと顔を見せた彼に、私は言いたくて仕方ないうずうずを、ようやく告げた。


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