淫靡な蒼い月
紅
衣擦れの音が響く
彼の部屋。
あたしは、制服の紅いリボンをほどいている。
しゅるり、しゅるり、しゅるり……。
細長い紅いリボン。
白いカッターの襟元からこれをはずし、ハラリと、畳の上に落とした。
「先生」
できるだけ落ち着いた声で、あたしは彼を呼んだ。
「こっち、向いて」
これは、運命の紅い糸よ。
さぁ、あなた
こっちを向いて、生まれたままのあたしを見て。
そして
その指で、唇で、瞳で
あたしを、初めての朱に染めて。
ずっと、ずっと、この時を、待っていたのよ。