ラッキービーンズ【番外編】

会場は彼の家

結局、4人でそのままスーパーで買い出しをして、水嶋のマンションへ帰った。

今の私は八木原くんと二人っきりになるのも、水嶋と二人っきりになるのも気まずいから助かる。


今日はこのままグループ行動をしようと強く心に決めた。

リアちゃんと八木原くんが帰ってから、水嶋とはゆっくり話せばいい。


「はい、はーい。リアと水嶋さんが野菜切りまーす」


それなのにキッチンに立つとリアちゃんが仕切り出して、私と八木原くんはキッチンから追い出されてしまった。

水嶋の家のキッチンが広いとは言っても、さすがに四人で立つことは無理だし、そんなにやる仕事もない。


「リアちゃん、私も手伝うよ」と一応言ったけれど、アッサリと「ここがリアの腕の見せどころなんです! 水嶋さん、包丁どこですかー?」とかわされてしまった。


「じゃー、メイちゃんは俺の相手ね」


いそいそと私の腕を引いてリビングへ向かう八木原くんに、私はまた水嶋が不機嫌になるんじゃないかとヒヤヒヤした。

やっぱりこのメンバーは色々と心臓によくない。


「ビール開けちゃおっか」

「え、それ準備してる二人に悪くない?」

「いーじゃん。あっち楽しそうだし、こっちはこっちで」


テーブルについた八木原くんは買って来たビールを2つビニール袋から取り出している。

楽しそうの声に反応して、キッチンを振りかえると、カウンター越しにリアちゃんと水嶋が笑顔でキッチンに立っているのが見えた。


そこは私の場所なのに。


瞬間、そんな感情がぶわっとわいてしまって、自分で自分に驚いた。

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