幕末オオカミ

3.責問いの果て



「おおおおおーい!!」


新撰組の局長とやらに会わせると言われたあたしは……。


なぜか、蔵に逆さ吊りにされていた。


無論、沖田が一人でこうしたんだ。


人払いをしてあるらしく、他には誰も来なかった。


「沖田さんよぅ!!

何も逆さに吊らなくたって、いいんじゃないかい!?」


「うるさい。だまれ」


「おろしてよー、せっかく食べた米が出ちゃうよー」


「静かにしろ!」


沖田はずいと寄ると、あたしのあごを乱暴につかんだ。


むにゅ、と頬がつぶれてタコさん状態。


しかし、逆さに見えた沖田の顔は、寸分たりとも笑っていなかった。


「お前、外にどんなやつらがいるか、しらないのか」


「はい?」


「血と女に飢えた、壬生の狼たちだ。

女が捕らえられたと聞けば、我先にと犯しにくるぞ」



そ、それは……


脅し?


真偽のほどはわからなかったけど、あたしは口をふさぐしかなくなった。


沖田は手を離し、蔵の入口に視線をやる。


するとちょうど開いた入口から、二人の男が入ってきた。


あたしはそれを、逆さまに見ていた。



< 12 / 490 >

この作品をシェア

pagetop