ヴァージニティー

1-1*姉と弟

漆黒の夜空に浮かぶのは、銀色の三日月。

鷹宮夕子(タカミヤユウコ)はぼんやりとそれを眺めていた。

お互いの熱い吐息が充満するこの部屋で、
「――んんっ…あっ…」

火照った躰に灼熱が挿入される。

「――夕子…」

耳元でささやかれる低くて甘い声に、ゾワゾワと背中が走り出した。

「ああっ、あっちゃ…!」

熱に犯された震える声で名前を呼んだ夕子に、
「“朝人”、だよ。

いい加減覚えてよね」

呆れながらクスクス笑ったのは、鷹宮朝人(タカミヤアサト)だ。

「――もっ、イジワ…!」

反論しようとする夕子をさえぎるように、ズンとつきあげられた。
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