ヴァージニティー

1-2*新しい同僚

夕子が彼を意識し始めたのは、中学3年生の時だった。

中学1年生の朝人に初めて恋人ができた時、自分の中で渦巻くどす黒い感情に気づいた。

弟に恋人ができたと言うのは喜ばしいニュースなはずなのに、喜べなかった。

その代わりに出てきたのは、彼の恋人への今すぐにでも彼女を殺したいと思うほどの激しい憎悪だった。

(あたしのあっちゃんにさわらないで!)

幸せそうな2人の光景に、何度嫌悪感を感じたことだろう。

何度早く別れて欲しいと、心の底から願ったことだろう。
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