シンデレラに玻璃の星冠をⅢ

信頼 桜Side

 桜Side
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あの時――


玲様と共に倒れられた櫂様が、

苦しみの眠りから目覚めた時――。



『恐らく――

"約束の地(カナン)"は爆発する』



覚醒と共に、その唇から漏れたのは不吉な言葉。


聞き返すよりも早く、すっと前に歩み出たのは…私の裂岩糸でぐるぐる巻きになったままの情報屋。


何故此処にいるのか。

何故私はその気配を悟れなかったのか。


私の武器の領域下にあり、動きが縛された状況にありながら、聖の存在を感知出来なかった事実に、思わず驚愕の声を上げてしまった。



『はじめまして、櫂はん。情報屋の聖言います』


そう、一方的な自己紹介をした後、


『櫂はん。準備が整いましたわ。

さあ…いざ裏世界へ』


聖は、不審極まりない誘いの言葉をかけた。


私が警戒に目を細め、戯言をほざくなと糸をきつく締め上げようとした時、



『判った。

…桜、糸を解け』



櫂様はそう命じたんだ。



嵐の後の静けさのように、落ち着き払われている櫂様。


奇妙な聖の言動を、素直に許容して従う櫂様に…私は情報屋が怪しげな術でもかけたのかと、威嚇した。



『桜、違う。

これは…必然だ』



櫂様はそう微笑まれて、



『桜。お前は…玲について、

"約束の地(カナン)"から出ろ』



そう言われた。



私は焦った。


櫂様は玲様を拒絶し、道を違える気なのかと。

そして私をも拒絶する気なのではと。



『違うんだ、桜。

聞いて欲しい…』



そして櫂様は語り出した。


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