雨が見ていた~Painful love~

....or....


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拓真くんと再会してから2週間が過ぎた。



キョウちゃんと再会してから怒涛のように過ぎた毎日は、本当に矢のごとく過ぎて行って、気づけばもう12月も下旬に差し掛かっていた。




SGスイミングスクールと
大手広告代理店METSERA



SKプロダクションの応接室で社長と一緒に二つの選択肢をキョウちゃんに預けたら


「美織。
俺はMETSERAを選ぶ。」


キョウちゃんは2つ返事でこう答えた。




「本当に大丈夫??
後悔しない??」


そう問いかけると


「アホか。
俺の持論は“後悔は死ぬ時、まとめて”だ!!俺はこの選択に後悔しねぇ。
広告の仕事には興味もあるし…METSERAの水泳部は国内屈指の強さだ。自分を磨く意味でも申し分ねぇ。」


キョウちゃんは、きっぱりそう言った。





「SGもいいけどなー。俺はSGに行ったら、きっと甘えちまうと思うから。」



「…甘える??」



「あぁ。良くも悪くもあそこは俺の育ったHOMEプールだ。コーチも監督もオーナーも…俺にとっては家族みてぇなもんだからさ。俺は…色んな意味であそこにいると選手としてダメになっちまう気がする。」





そう言ってSGの資料を見ながら、キョウちゃんはフフッと笑う。






4歳から通ってたSGスイミングスクール。キョウちゃんの才能を見出してくれた、コーチ達に龍おじさん。




確かに、そう言われればそうなのかもしれない。あのセンターの中にいる人たちは、キョウちゃんにとって家族と同義語。




より厳しい中に身を置いて、更に自分を高めたいと望むキョウちゃんには、少し甘すぎる職場なのかもしれないな……。



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