もっと美味しい時間  

     ※慶太郎と綾乃




とんだ誤算だっ!!



久しぶりに百花の手料理を二人っきりで食べれると思っていたのに、京介も一緒なんて……。
京介の強引さにも困ったもんだ。
百花も渋々了解してくれたものの、玄関で京介にからかわれた時の顔を見ると申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまう。

キッチンからはいい香りが漂っていた。昼間も楽しそうに買い物に行っていたし、今日の料理も期待できそうだ。
しかし京介のやつ、いちいち百花に絡むから、百花が可哀想になってきた。
キッチンに行くと、百花を背中から抱きしめる。

「また櫻井京介に何か言われるよ?」

そんなこと知ったことかっ!! ここは俺の家だぞっ!!
そう百花に伝えても、何だか顔が晴れない。やっぱり二人で過ごしたかったみたいだ。それでも何とか笑顔を作る百花がいじらしい。

シマアジのお造りとほうれん草の胡麻和えを出してくれると、ビールを取りにキッチンへ向かう。と、インターホンが誰かが来たことを告げた。
こんな時間に誰だ? 
そう思いつつも大した相手じゃないだろうと、京介に出るよう頼む。
慣れた手つきでインターホンに出る京介。

「おぉ綾乃。今開けるわ」

はぁっ!? 綾乃?
何で今日、綾乃がここに来るんだ。
今日はいつもみたいに、勝手に来るなと言っておいたのに……。



とんだ誤算だっ!!

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