白銀の女神 紅の王(番外編)
俺が馬鹿だった…
ノース地区での会議が延期になった翌日、俺はサウス地区へ馬を走らせていた。
会議が延期になったと決まった日、城に帰ればまだエレナは帰っていないという。
五日経って風邪が治っていないことはないため、サウス地区で何かあったという事は確かだった。
フェルトのところにいるのなら危険はないはずであり、帰れない理由はフェルトにあるのだと推測できる。
が、それがどんな理由であるにしろ、姿を見るまでは安心できなかった。
サウス地区へ行くには整備された道を通るが、その道は深い森を避ける様にしてつくられているため迂回ルートになる。
実際のところ森を抜けても数十分の差しかないが、その時間すらもどかしく、森を走っていた。
大体、サウスに残るというのなら何故連絡ひとつ寄越さないんだ。
この六日間十分時間があったはずだ。
俺がどれだけ……。
頭に浮かんだ言葉に驚き、思わず手綱を握る手がかたまり、馬が急停止する。