君に逢いたくて~最後の手紙~

告白

私は向井君に手を引っぱられ、
向井君の後ろを歩いていた。




なんかすごく緊張する。




だって向井君、私と
手つないでるんだもん。




「ここだよ」




向井君にそう言われ前を見ると、
そこには、一面水色の
きれいな海。



え?海?



「向井君、どうして海なんか……」



「あのさ」



向井君に話をさえぎられた。


「なに?」


「今から俺が言うこと、
何も言わずに聞いててくれ」


なに?



「うん。わかった」



向井君は1呼吸おいて話し始めた。



「俺が梨衣奈ちゃんを初めて見たのは
入学式の時」



「うん」



「初めて見たとき、俺は梨衣奈ちゃんに
一目惚れした」



「え?」



「カラオケの時、莉衣奈ちゃんと
話して、好きっていう気持ちが
強くなった」



「うん」



「でもそれと同時に感じた。
梨衣奈ちゃんには、忘れられない
誰かがいるって」



「……」



「でも、1度でいい、期間限定でいい、
俺と付き合ってくれないか?」



わ、私と?



「え?」



「お願い」



ゲッ!



私、頭下げられるのに弱いんだよな。







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