月下の誓約

 8.失態の代償



 砦には十分くらいで到着した。
 門の前で馬を止め紗也を降ろす。
 そこへ右近が駆け寄ってきた。
 右近は血まみれの和成を見て派手に驚く。


「何? おまえどっかやられたの?!」
「いや、ただの返り血」


 和成が平然として返すと、右近は安堵のため息をついた。


「なんだ。驚かすなよ。めずらしいな」

「で、戦況は?」

「あぁ。なんか敵の総大将が撤退したらしい。詳しい状況は司令所で聞いてくれ。
前線の部隊はそのまま待機してるけど、塔矢殿が帰ってくるって聞いたから、おまえ覚悟しといた方がいいぞ」


 そう言って右近は、拳を頬に当てて見せた。
 和成は目を伏せて頷く。


「あぁ、わかってる」

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