月影

3

「今日も予備校だっけ?」

芽衣に言われて、深幸は首を横にふった。

「予備校はもう行かない」

その言葉に、芽衣は笑った。

「やっぱつまんなかった?」

その言葉に、深幸は小さく頷いた。

「なんか、大量の応用問題を解くだけだし、正直、行く意味あんのかなって思っちゃってさ」

芽衣は苦笑する。

「ま、なんであんたが予備校に行くなんて言い出したのかと思ったもん」

「え?だって、友香が大学受験するなら行った方がいいって」

「友香とあんたが目指してる大学、ぜんっぜん違うじゃん」

呆れたように芽衣が言った。

「そうなんだよね、よく考えたら…政宗にも、金の無駄だって言われちゃったし」

その言葉に、芽衣はうっとりした表情をする。

「私なら、予備校なんかに通わずに、政宗様に教えてもらうわ」

「うん、政宗に教わることになった」

芽衣の言葉に、さらっと深幸は頷いた。


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