風に恋して

赤い瞳

赤い瞳――純粋な水属性の家系に稀に生まれることのあるという特別な力。クラドールの能力が高い者に能力者が多いとも言われている。

それは、人の身体の中に直接手を加えることができる能力。

本来、呪文という気を源とした精神力のようなものを媒介して治療を行うのがクラドールであるが、リアはこの“赤い瞳”を使ってダイレクトに人の体内を操作できる。

媒体を通さずに細胞の再生を促すため治癒が速く、瀕死の状態の人間や大量に出血している人間を救うことも可能であり、また逆に、細胞を一瞬で破壊することもできるのだ。

そんな神のような力を使うことは、本来人間には許されないのだろう。その能力を使えば、体力的にも精神的にもかなりの負荷がかかる。

力を解放した後は、高熱や嘔吐、頭痛に苦しめられ、眩暈はかなり長く続く。

レオが知る限り、リアが力を使ったのは1度……正直、見ていられないと思った。

その1度以外にも、まだリアが精神的に不安定だった幼い頃に何度か力を解放しかけ、その度に寝込んでいた。実際に力を使うよりは軽いけれど、決まって高熱が2、3日続く。

きっと、今回もそうなるだろう。

レオはベッドでだんだんと呼吸の荒くなるリアを見て顔を歪めた。
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