【完】結婚させられました!?
□王子様からの切ないキス:心優side
「りりり、林檎ちゃんっ!?」
───気が付けば、もう九月。
文化祭も一週間後に控えたこの日、私は
とんでもない事実に気付き、林檎ちゃん
に詰め寄った。
台本片手に。
「心優ちゃんどうしたの?」
ほわほわと癒されるような微笑みを相変
わらず浮かべている林檎ちゃんにも、今
日はこれっぽっちも癒されない。
ていうか癒される訳がない。
「林檎ちゃん、こ、これは一体……」
プルプルと震える手で台本を持ち、ある
一場面を指差せば、なんてこともないよ
うにああ、と林檎ちゃんが微笑む。
「そこね、加筆したのよ」
「お願い前のに戻して!」
「えぇ~?無理よ。だって皆の希望なん
だもん。ごめんね?」