嘘つきヴァンパイア様

謎の婚約者





***


『カトレア、私は生涯の愛を君に誓う』



『ケイト』



その日、またいつもの夢をみていた。姿のハッキリ見えない男女が手と手を重ねながら、お互いの存在を確めあう夢。



涼子が昔から何回も見る夢だ。切ない声のこともあったり、このように幸せに満ちた声。それは、日により様々だが今日のは特別幸せそうだ。


プロポーズかな。なんて、涼子は思う。

生涯の愛を誓う、なんて、素敵な言葉なんだろ。




羨ましい。女に生まれたのなら、きっと誰もが生涯愛されたいと思うだろう。



『ケイト、ありがとう…』


『カトレア…』


抱きあう、2人になぜだか胸がほっとし、涼子はゆっくりと夢の中で瞳を閉じた。


< 36 / 475 >

この作品をシェア

pagetop