だから、恋なんて。
2章 非日常

いつもと違う始まり


いつもこの時期は気が重い。

月初めの一日には希望を取って仕事を休むか夜勤にしたいくらいだ。


それなりに大きな総合病院のここは、系列病院がいくつもあって、ドクター達はその中で異動を繰り返す。

そして何故か九月の交代が意外に多い。

今年も数人のドクターが異動して、朝のくそ忙しい時間帯に揃って挨拶にくる。

いつもこんな時はわざと患者さんの隣に逃げ込んで、遠くからその挨拶を見ているふりをするだけ。



でも、今年は本当にタイミングが最悪だった。

入り口横のデスクに座る師長にオペ後の患者さんの指示を確認してほしくて、ICUの入り口にたどり着いたところで扉が開いた。

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