淡い初恋

段々と心惹かれる

次の日の朝、席に着くと今か今かと千堂くんが教室に入ってくるのを待った。まだかな、まだかなぁ。昨日は、鏡の前で練習した。さり気なくを装い、彼が着席したら振り向きざまに「おはよう」と言おうと決めていた。
すると、彼が教室に入ってきたのが目に入った。

キャーキャー!!私は咳払いを軽くすると、練習とは違って既に彼の方をガン見していた。よし、今だ!!「お、おは・・・「龍之介、おはよう!!」と私の勇気を振り絞った挨拶は北沢くんの声で微塵にもかき消されてしまった。「あぁ、おはよう。」と千堂くんは北沢くんに笑顔を向ける。ああ、なんと可愛い笑顔なのだ。それだけ拝めれば満足かと思って俯いていると「高梨さん、おはよう。」と声をかけられた。

え!?振り返ると北沢くんが私に挨拶をしてきた。私は、「お、おはよう。」と苦笑いで応えるとすぐ俯いた。あ~ん、もう!!気まずい!!

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