淡い初恋
第二章

積み重なる不安

期末テストの結果が廊下に張り出されたため、休み時間、私は加奈子ちゃんを連れて見に行った。「千堂くん、また一位だよ。」加奈子ちゃんが舌を巻いた。「いや~、凡人の私達とは世界が違うね。よく、こんな人と付き合えるもんだ。」と彼女が私を揶揄してきたので「うん、そうだね。なんか、申し訳ないよ。」と言うと「でも、希ちゃんは50番代に入ってるから良いじゃん!私なんて100番代ギリギリだよ!」と彼女が言ってきた。「でも、五十歩百歩みたいなもんじゃん!」と彼女を慰めると「俺なんて100番代にも入れなかった。」と言う声がして振り返ると北沢友樹君が立っていた。
「や~、龍之介はすげぇよな。ガリ勉って訳じゃないのに勉強できるから。しかも、運動神経も良いし、イケメンだろ?なんで誰も奴をいじめないのだろう笑」と茶化すように言ってきた。「秀才はいじめ対象外なんじゃない?」と加奈子ちゃんが言うと「そういえば、早坂玲奈さん二位だよ!知ってた!?」と私に聞いてきた。「え?そうなの?」と思い、結果表を見ると確かに龍くんの次に彼女の名前があった。「意外と秀才なんだね、あの人・・。男遊び激しそうだけど。」加奈子ちゃんが言うと「ってか、あの有名な国立大学の早坂病院の院長の娘だろ?そりゃ、立派に清く正しく育てられてるんじゃないか?」と北沢くんが言ってきた。へぇ、そうなんだと思うと影で私達を見ていた彼女と目が合った気がした。

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