「約束」涙の君を【完】
失踪
「あぁ…もしもし?おばあちゃん?」
『なんだぁ?優衣か?どうした?』
「お母さんとお兄ちゃん、そっちに行ってない…よね…」
『お母さんとお兄ちゃん?
来てないが。
どうした?』
「昨日、朝はいたの、二人とも。
でも、夕方になってもお兄ちゃん帰ってこなくて、
そしたらお母さんも帰ってこなくて。
携帯も繋がらないし。
今日、もう夜でしょ?
でもやっぱ帰ってこないんだ。
お母さんの車がないから、
もしかして、車でおばあちゃんの家に行ったのかなと思って」
『いやぁ、来てないが。
おかしいなぁ。
優衣はひとりで大丈夫なのか?』
「うん、お小遣い少しならあるから。
ただ、このまま帰ってこなかったら、どうしよう…」
『落ち着け。
わかった。明日ばあちゃんがそっち行ってやるから。
それまで待ってな、わかったか?
大丈夫だ、ひょっこり帰ってくるさ』
「うん。ありがとう、おばあちゃん。
じゃあ、明日待っているね」
電話を切ると、静かすぎる部屋が怖くなった。
二人とも、
どこに行ってしまったんだろう…