恋する季節 *- confession of love -*

*- 4 -*



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Nランドに入って一番に目の前に現れたのは、大きな噴水と、地球をイメージさせる大きなモニュメント。

時計は四時を回っていたが、夏の空はまだ青く夕方の色は混ざっていなかった。
空も目の前に広がる光景も真っ青で、美琴がわくわくした気持ちを抑えきれずに、隣にいる彩乃の腕を抱きつくように掴む。

「ね、写真撮ろ? 噴水バックにして誰かに……」

噴水やランド内の風景を見渡しながらそう言っていた美琴だったが、彩乃の腕がなんだかやたらとゴツゴツしている気がしておかしく思い隣を見る。

と、そこには恐らく同じ大学の男子が照れ笑いをして立っていて。
後ろ頭をかきながら「写真……誰にお願いしようか」などと言っていた。

それを少し離れた場所から見ていた大和が、「あっ」と声をもらすと同時に周りを囲んでいた女子たちを跳ね除け、美琴から、勘違いして照れている男子をベリっと離す。
そして、はがした男子には目もくれず「彩乃はあっちだろ。ちゃんと見てから抱きつけよ」と美琴を自分の身体で男子から隠すようにして注意する。

大和にしてみれば、集団行動すると決定した時から美琴に近づきたかったが、他の子と話した方がいいと言われた手前、すぐそうする事もできずにいた。

それは、その事へのダメージがまだ残っているのと、他の子と、と言われたにも関わらずそれを守らないで美琴の隣ばかりにいたら美琴に嫌われるんじゃないかという不安からだ。




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