君のところへあと少し。

3

「だって、今日はお祭りがあるじゃん。お客さん来ないんだもん。」


愚痴を言うハルに一瞬だけ険しい表情をみせたものの、ナリはスイーツで舞い上がる心を抑えられなかった。


「ハルはいかないのか?お祭り。」


タルトを頬張り美味い!と言いながらナリは聞いてきた。

「ひとりで行くなんて嫌よ〜。めんどくさいもん。それに、人混み苦手なの。知ってるでしょ、ナリ。」

そしてまた、スツールに腰掛けミルの掃除を始める。


「俺と行く?」

「は?なんで?」

即答かよ。

小さな声がしてため息を吐くとナリはフォークを置く。


…?
私なんか変なこと言った?


沈黙が痛い。



カランコロンという音と共に涼やかな声がして、2人は振り向いた。


「あ、奏、いらっしゃい。」


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