君のところへあと少し。

4

薄茶色の髪をかきあげ、ふわりと笑うこの客。
「お腹空いたぁ〜!」

大和 奏。やまと かなで、という。
ナリの幼馴染で23歳。ナリよりは少しだけ背が低い。
身体の線が細く、まるで女性のような風貌だ。


「ハル、本気で気付いてないの?
ナリはさそっ」
「黙れ、指を潰すぞ。」

奏の言葉を大きな声で被せ、険しい表情でナリは睨みつける。


スイートポテトを頬張ってそっぽを向いてしまった。


そうなると、ひとり話がわからないハルはふて腐れるしかない。


「もう、何よ。2人で知った顔しちゃって、私だけ仲間はずれ?オバサンには関係ないって?」


ぷいっと後ろを向く。



「奏、今日は何か食べるの?」
ナリの隣に座ると奏はカウンターに突っ伏した。

「あー、じゃあブラックコーヒーとミートパイ。昼ごはんまだだからさ。お腹空いちゃって力が出ないよ〜。」

「はいはい、了解。」

キッチンに立ち、パイの準備をするハルを見て、ナリはため息をひとつ。

奏はそれを見てニヤニヤと笑った。



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