君のところへあと少し。
(その2)波留と和也

5

ぼんやりとまた、外を眺める。

暑いなぁ。

でも、なんか寂しくはなくなったかな。

ナリと奏がココにいてくれる。



2人とは、店で知り合った。

元々この地で生まれ育ったナリと奏。
他所から来たハル。


年の差は5歳もあるのに、そういうのを全く感じさせないナリと奏に、ハルは心を許した。


言わば親友みたいな。


…?親友かな?


ま、そういう間柄。

小柄なハルをチビだのガキだの色気が無いだのと、やたらとケチをつけてくるナリは、スポーツ用品メーカーの営業マンだ。


働くナリを何度か見たが、店で激甘コーヒー牛乳を飲んであま〜いスイーツを頬張る姿とあまりにもかけ離れていてビックリしたことがある。

イケメン。


多分。


ていうか、キン肉マン。


だって、ハルを片手でひょいと抱えてしまうのだ。



右腕で抱き上げ、腕に腰掛けたようにしてスタスタ歩かれたこともある。


小さなハルはすっぽりと包まれてしまうのだ。


ガタイのいいキン肉マンな営業マン。


なんか変態ちっく(笑)


それに比べ、奏はいつ見ても綺麗。



ふわふわな薄茶色の髪は癖っ毛。
瞳も薄茶色。
バイオリニスト。
綺麗な指先が音を奏でる。
そんな奏は線が細いから、ハルより女っぽい。


グサッときたな、今。
自分で言ったんだけど。




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