君のところへあと少し。

7

そうこうしているうちに、ナリが立ち上がる。

「じゃあオレ行くわ。ハル、ごちそうさん。」

お金を置いてから上着を着る。
ネクタイを締め直して素敵サラリーマンの出来上がり。

そういう仕草がかっこいい。
「あ、ナリ…」

「ハル。まだ仕事中だから、終わったらまた店に来るわ。」



頭をぽんぽんとされる。



「え?」

「祭り。ハルが行きたいなら連れて行くぞ。」


あくまでも、私が行きたいかどうかなのね〜。

店を出るナリは柔らかな笑顔だった。







「素直じゃないねぇ、ハル。」


残ったかなでが、ミートパイを頬張りながら言う。


「見てるこっちがイライラしちゃうよ。」

「なんでよぅ。」

「だってさ、ハル。ナリのことスキでしょ。見てたらわかるんだぁ〜。」



………。




「な、、、なんでっ‼」


ぶわっと顔が赤くなるのが自分でもわかった。



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