リア恋DASH!

§2 報酬はデート

「この間のスマイル超ミーティングの写真できたよ

 プリンターインク切れてて今頃になっちゃった。」


彩夏がお弁当食べながらアルバムを取り出した。


「ああ、あれねすっかり忘れてた…」


そういえばそんなの行ったなあ、

ずいぶん昔の話な気がする。


そんなあたしの気のない返事に、

信じられないというような口調で、


「ええ??


 宮森さんの生写真もあるし、

 激ラブ1200%の等身大フィギャアと撮った写真もあるんだよ~??

 あん時超興奮してたじゃん。


 望南、最近あんたおかしいよ?


 大丈夫?」



見ろと言わんばかりに

あたしの目の前で

開いてみせる。


「はいはい」


あたしはめんどくさそうに、

写真の入ったファイルを受け取り

パラパラと見ると。



ああ、確かに…

蘇る超ミーティング、

あれは本当に素晴らしい神イベントだった。



あたしたちは大興奮したんだよね。


そう、あの時はこんな気持ちになるなんて

ミジンコも思わなかった。





「あ」


イケメン執事のコスを撮った後ろ、

小さく羽鳥が写っていた。


あのマックで会ったあの子と一緒に。


笑ってる。


少し頬染めて笑うあの子と、

それを見つめるように優しい笑顔の羽鳥。



学校でいつも退屈そうな羽鳥の顔しか知らない。


黙って外を見てぼんやりしていたり、

男子と絡んでいても決して笑ったりしない。


どこか空虚で、投げやりな雰囲気。


へえ、アイツ

こんな顔できるんだ。


あたしはまた胸の奥がぎゅうっと痛くなった。







< 16 / 88 >

この作品をシェア

pagetop