久遠の花〜 the story of blood~【恋】
/1
/1
六月も半ばになった頃。
私は、真新しい制服に袖を通していた。
久しぶりの登校だから、朝からウキウキしてしょうがない。
入学式には参加したものの、それからまたすぐ入院を余儀なくされてしまって……今回長くならなかったのが、不幸中の幸いだと思う。
「――やっぱり可愛いなぁ」
姿見鏡で全身をチェックすると、嬉しさのあまり、ついその場でくるりと回っていた。
言っておくけど、可愛いって言葉は自分の容姿に対してじゃない。あくまでも、私が今着ている服――制服に対して発した言葉だ。
白い服に、襟(えり)とスカートが水色のセーラーで、胸元には大きなリボン。学年ごとに色が違っていて、色は桜と緑と紫の三種類。
一番人気は桜色で、運がいいことに、私は桜の年にあたった。
服が可愛いからここを選んだってこともあるけど、一番の決め手は、“家から近い”ということだったりする。
なんて適当な、と思う人もいるかもしれないけど、これにはちゃんとした理由がある。
このままで行きたいけど……できないんだよね。
もう一度じっくり鏡で姿を確認すると、黒いカーディガンを羽織り、一階に下りて行った。
私が近くの高校、そしてこのまま行けないのは――肌が、赤くなるから。
太陽に長時間さらされると、真っ赤になって熱を持ってしまう。
人より肌が白いのもそのせいで、外に出る時は、日焼け止めと長袖は当たり前。今日みたいに日差しが強い日は、傘も必要となるほど。
つまりは――健康上の理由からだ。
六月も半ばになった頃。
私は、真新しい制服に袖を通していた。
久しぶりの登校だから、朝からウキウキしてしょうがない。
入学式には参加したものの、それからまたすぐ入院を余儀なくされてしまって……今回長くならなかったのが、不幸中の幸いだと思う。
「――やっぱり可愛いなぁ」
姿見鏡で全身をチェックすると、嬉しさのあまり、ついその場でくるりと回っていた。
言っておくけど、可愛いって言葉は自分の容姿に対してじゃない。あくまでも、私が今着ている服――制服に対して発した言葉だ。
白い服に、襟(えり)とスカートが水色のセーラーで、胸元には大きなリボン。学年ごとに色が違っていて、色は桜と緑と紫の三種類。
一番人気は桜色で、運がいいことに、私は桜の年にあたった。
服が可愛いからここを選んだってこともあるけど、一番の決め手は、“家から近い”ということだったりする。
なんて適当な、と思う人もいるかもしれないけど、これにはちゃんとした理由がある。
このままで行きたいけど……できないんだよね。
もう一度じっくり鏡で姿を確認すると、黒いカーディガンを羽織り、一階に下りて行った。
私が近くの高校、そしてこのまま行けないのは――肌が、赤くなるから。
太陽に長時間さらされると、真っ赤になって熱を持ってしまう。
人より肌が白いのもそのせいで、外に出る時は、日焼け止めと長袖は当たり前。今日みたいに日差しが強い日は、傘も必要となるほど。
つまりは――健康上の理由からだ。