東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
4幕 叔父ノ借金

ー椿side-

帝国女子大学。


前々帝の帝后・蓮子様の命により創立された日本で初めての女子高等教育機関。


「…ご婚約おめでとうございます」


教室の中で座って談笑していた女性学生たちが一斉に私に注目して、拍手を送った。


学内にも私と御堂中尉殿の婚約の噂が流れていた…



この縁談の話に不満を持つ私は一切、誰にも口外しなかった。



風の噂か、それとも御堂中尉殿が自ら…私との婚約を第三者に…




拍手を送る周囲に愛想笑いを浮かべて…私は自席に着いた。




「御堂中尉殿はあの大戦の英雄・御堂陸軍大臣の嫡男…羨ましい限るですわ…椿様…」




「お二人とも…眉目秀麗…お似合いですわ」


「ありがとう…」



羨望の眼差しで見つめ、熱く語るけど…


私の心は冷めていた。




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