Hair cuts
第二章

愛華の手紙

DEAR さくら

あの頃があたしの人生の中で一番良かった時期だった。

毎日がめまぐるしく過ぎていくのに、一瞬、一瞬が輝いていた。

あまりにも日々が楽しくて、順調で、幸福だった。

幸せすぎて、あたしは怖かった。

やっと手にした幸福が、シャボン玉みたいにはじけて消えるのが怖かった。


ねぇ、さくら。

さくらの一番幸せだった時代はいつですか?

もしかしたら、「今」なのかな。

だって、さくらは東京でばりばり仕事して、有名人の知り合いもいて、海外にも行っていて、本当にすごい人になっちゃったもの。

本当に、本当にすごいよ、さくら。

さくらはあたしの自慢の親友だよ!

でも…。

さくらは今でもあたしのこと、親友だと思ってくれているのかな?

ちょっぴり不安です。

FROM 愛華
出すに出せない手紙第一号
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