婚恋

初めての彼氏

初めての彼は大学の1こ上の先輩だった。
人数合わせのために出た合コンが最初の出会いだった。
彼も人数合わせで元々嫌々参加してたらしく
一人でつまらなそうにしている姿が気になって
気がつくと彼を目で追っていた。

その彼と目があった時、彼がニコッと笑ったその笑顔に
私は一目惚れしてしまった。

彼が席を立つと自然に自分も立ち上がっていた。
彼はそんな私の気持ちを見抜いていた様だった。

二人で合コンを抜け出し、2人でいろんな話をした。
それが初彼、藤村洋介だった。
私にとっては何もかもが初めてだった。
キスも・・・その先も・・・・

しかも洋介も趣味でバンドをやっていた。
だから話も合うし、私にとっては申し分のない彼氏だった。

彼のライブのある時は必ず見に行っていた。
だけど・・・私のバンドのライブに来ることはなかった。
・・・というよりは私が教えなかった。
どうして教えなかったのかあの時はわからなかった。
でも今ならわかる。
陸に彼氏の存在を知られたくなかったから・・・・
付き合って半年くらいは私に彼氏がいるなんて
メンバーの誰も知らなかった。
教えなかったからだ。

だけど・・・
彼のライブの日、偶然松田君とライブハウスで会ってしまった。
それはライブ後、私と洋介が話をしていた時だった。
「あれ?春姫じゃん。お前何?trustのメンバーと友達なの?」
松田君がいたのだ。
「な~んだ。松田っちって春姫ちゃんと知り合いなの?」
洋介のバンドのベースのしょうちゃんが話に入ってきた。
どうやらしょうちゃんと松田君が友達らしかった。
「知り合いも何も俺のバンドのベースだけど」
「・・だってさ・・・」
しょうちゃんは洋介の肩を叩きながら楽器の片付けに戻った。
洋介は松田君の前まで進むと
「春姫がいつもお世話になってます。」
丁寧に挨拶をし。
私は顔が赤くなるのを両手で押さえて下を向いた。
「え?えええ?なに?春姫・・彼氏が出来たんだ」
私は黙って頷いた。


その後私は松田君に
この事は内緒にしてほしいとお願いした。
理由を聞かれたけど
なんていったのかあまり憶えていない。
ただ、陸に知られたくなかったんだろうと・・・
今ならそう思える。

松田君は約束を守ってくれていた。
だけど、私に彼氏がいることが
思わぬところでバレた。
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