滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬

寝耳に水


「ちょっと!ちょっと!!どういうことなのよ!!!」



その日の夜、あずさに強引に飲みに誘われ泣く泣く着いていった矢先に、
この剣幕で問い詰められた私。



「まだビール飲んでないわよね?じゃ、生中とウーロン茶」

「ーーちょっと奈緒子!話を逸らすんじゃないわよ!」





注文を聞きに来た店員などそっちのけのあずさだが、

私は目についたメニューを適当に選び頼んだ。






「あのさぁ…、逸らすも何も当事者の私が一番びっくりしてるんだから」





メニュー表をパタンと閉じ頬杖ついて、思わずため息。


だってまさかこんなことになるなんて、
想像も、予想もしなかったんだから。




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