気ままに生きる

あの世があれば、また逢えればいいね

 今年になって俺も65歳になったけど、60歳になる前くらいから、周りにいたいろいろな人が亡くなっていった。ヒロミツ(鈴木ヒロミツ…1967年にデビューしたグループ・サウンズ、モップスのボーカリスト、74年に解散後は俳優、タレントとしても活躍した。2007年3月14日死去)やアイ高野(1966年グループ・サウンズのカーナビーツでドラマー兼ボーカリストとしてデビュー、「好きさ好きさ好きさ」が大ヒット69年に解散後はザ・ゴールデン・カップス、クリエイションなどのバンドでも活躍した。2006年4月1日死去)、そして俺が60歳になった頃にトキさんが亡くなってしまった。トキさんとはこれからカップスを一緒にやっていこうという話になっていたので、すごく残念だった。

 亡くなる少し前、俺がいつも通っている病院に行った時に、トキさんとバッタリ会ったからびっくりしたよ。トキさんは精密検査に来たと言ってたよ。その後に入院したということを聞いて、お見舞いに行った。その時、トキさんは手術前だった。ベッドの上でクロスワード・パズルをやっていたよ。由紀ちゃんが「平尾さん?」て声をかけたら看護婦さんと間違えたみたいで「はい?」なんて最初返事をしていた。俺が「大丈夫? がんばって」って言ったら、「まだ手術が終わってもないから、そう言われてもわからないよ。それより退院したらJCBホールでライブをやるの、お前覚えているよな!」って次の仕事の話しになっちゃったよ。もちろん覚えていたから「うん」って返したけどね。帰るときは娘の波音に「お兄ちゃんがんばるからねー」なんて言ってた。それがトキさんと会話した最後になってしまった。
< 186 / 203 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop