ファインダーの向こう

Chapter3

 ルミと久しぶりに再会する場所は、銀座にあるフレンチレストランで、実際指定された場所に行くと、かなり高級な雰囲気が漂っていた。


「あ、沙樹! こっちこっち!」


 店の前できょろきょろとあたりを見回していると、夜だというのにサングラスに帽子を目深にかぶったルミの姿を見つけた。人気女優はプライベートで外に出るのにも気を遣わなくてはならないと思うと、少し気の毒にも思えた。


「久しぶりね、元気?」


「うん、元気だよ。ルミも元気そうだね」


 ルミが敢えて高級なフレンチレストランを指定したのは、あまりひと目につくような場所で食事をしたくなかったからだろう。こういう場所には大抵個室がある。


 ルミは遠目で見てもかなりスタイル抜群で、ひと目でモデルか芸能人とわかるオーラを持っていた。昔はロングヘアでシャンプーのCMにも出演していたが、今は役作りの為か、首周りに毛先が来るくらいのボブカットにしていた。


「個室を予約してあるの、早く行こう。もうお腹空いちゃって」


「うん」


 相変わらずなルミを見て、沙樹はほっとしたように頬を緩ませた―――。
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