ラベンダーと星空の約束+α
2
◇◇◇
感動の再会から約一年後。
7月中旬の夏真っ盛りに、いよいよ二人は結婚する。
僕は前日に富良野入りし、紫ちゃんの家に泊まっていた。
亀さんとたく丸君も勿論招待されたけど、当日に来るって言うから、別行動なんだ。
何で僕だけ前日入りしたのかと言うと、紫ちゃんのヘアメイクを僕がやってあげたいから。
紫ちゃんの髪とメイクを何日も前から考え、スケッチ画まで作ってワクワクしていたんだ。
結婚式は人生の一大イベント!
二人の為に、僕は張り切っちゃうよ!
それなのに…
結婚式前日の夜、月岡家の広いリビングで、スケッチ画を開いて相談する僕に、紫ちゃんは…
「でさー、これだと華やかではあるけど、君の顔には……って…紫ちゃん聞いてる?
君の髪型の話しだから、ちゃんと聞いてよ!」
「聞いてるよ。これでいいんじゃない?
あっ、お母さん、待って。
明日“まりもっこりストラップ”の発注かけた方がいいよね?
残5箱なんだけど」
「紫ちゃん!!!
君の結婚式だよ?明日だよ?
まりもっこりとか、言ってる場合じゃないから!!
何か希望ないの?
こんな髪型にしたいとか、普通花嫁は色々注文付けてくるもんだよ?」
「希望?うーん…時間を掛けずにすぐ出来て、崩れないヘアスタイルかな?」
「僕は、デザインの相談してるんだけど…」
「あっお風呂空いた。青空、入っちゃって。
え?後がいいって?
じゃあ流星、先に入って。
−−− え〜?いいよ、今日くらい、私を待たなくても。
−−− 流星っ!家族の前でエッチなこと言うの禁止!
早く先に入って!
一緒に入ってるって瑞希君にバレたら、恥ずかしいでしょ?」
お風呂はいつも一緒に入ってるんだ…
内緒にしたいなら、もっと小声で話すべきだよね…
そんなラブラブっぷり、今更どうでもいいけどさ、
結婚式の話しをしようよ!
もー紫ちゃん、何でこんなにあっさりしてるんだよ。
張り切ってる僕と、当人の温度差は何?