翼~開け放たれたドア~

天使との再会

ふわりと、頬を優しく暖かな風が撫で、私はそっと瞼を開ける。

さぁ……ともう一度風が吹き抜け、周りに咲いている花々や草がさらさらと音をたてて揺れる。

うわぁ…綺麗だな……。

…ん?………花?草!?

私はガバリと起き上がる。

「え、え?」

なに、ここ。

私……こんなとこ知らない…。

キョロキョロと見渡してみる。

晴れた青い空から、明るい太陽がこの草原を温かく見下ろしている。

ちょうど、私の後ろらへんに目線がいったところだと思う。

とたん、息が詰まって時が止まる。

私の目線の先。

なんで。どうして。

そんな思いばかりが頭をよぎった。

昔は見慣れていた、今は懐かしい……私と同じ色の髪。金色の瞳。

柔らかく揺れる髪をなびかせ、金色の瞳を優しく細めて、そして

「──春輝…」

聞きたかった、大好きなあの声で私を呼んだ。

「お、かあさ…っ」

私は立ち上がって走り出す。

途中転びそうになったけど。もつれて前のめりになったけど。

「──お母さんっ!!」

それでも、走って。
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