神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~

・豹変



放課後……。


「さて、行くぞ」


いつものようにあたしの首根をつかんで、四郎くんが言う。


うう、また帰り道になにかおごらせる気だ……。


四郎くんは現代の食べ物が気に入ったみたいで、ハンバーガーだのアイスだの、見たもの全部食べたいとごねる。


まるで子供だよ。そしてあたしはお母さんか……結婚もしてないのに。


「ちょっと待て」


雷牙が、あたしたちの前に立ちはだかった。


「お前、あれから紙井湯先生のとこ、行ってないだろ?」


「紙井湯?ああ……我が気を失っている間に連れていかれた医者のことか」


四郎くんが不愉快そうに眉をひそめる。


やっぱり、お腹が空いているみたい。


「抜糸に来いって言ってたぜ」


「抜糸?」


「腹の傷を縫った後の、糸を取る作業」


ああ、と四郎くんは納得した。


その傷はもう痛まないみたいだけど、糸が残ってるのはカッコ悪いよね。


「というわけで、行こう!俺、連れてってやるから」


「は?なんでお前と?美心と行けばよかろう」


「いいから!男が女に、やたらと肌を見せるもんじゃねえよ!」


……雷牙、それは男女が逆なのでは?


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