翼~開け放たれたドア~

別れの先に

──パンッ!

何かが弾けるような音とともに光が放出された。

『会いたい』

それと同時に、そんな思いが頭をよぎったその瞬間

──ザンッ!!

背中に、翼が生えた気がした──





いつの間にか瞑っていた目を恐る恐る開ける。

ちらちらと舞い散る白い羽根。

そのなかで、この世界がなんだかすごく輝いて見えるのは気のせいだろうか。

ふと横を見てみれば、大きな翼が私の背中のほうからあるのがわかった。

…そういえば、なんとなく背中に感触がある。

そこに少し意識を集中してみれば、バサリと翼をはためかすことができた。

どうやら、意思を込めれば動かせるみたい。

「…そう。それでいいわ」

お母さんは、ふわりと微笑んだ。

「さぁ、行きなさい春輝」

「……うん」

私も微笑んでみせた。

だって、もしお母さんのことを思い出すなら、笑顔のお母さんがいい。

そして、お母さんが私を思い出すなら……笑顔の私を思い出してほしいから。

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