鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ
同じ時間を刻んでいきたい

今はちゃんと名前で呼んで

あれから何度も課長から着信が来たけれど出なかった。何を話していいかわからなかったから。



それでも日課はやめられなくて月曜日の朝、カーテンを少し開けて窓の外から課長が出勤する姿を見送ろうとしていた。



「あれ?今日は遅いのかな?」



いつも出勤する時間なのに今日は姿が見えない。ストーカーのように毎日見送っていたから時間は間違えていないし。


まさかの休み?



結局、出勤準備をしながらカーテンを開けてチラ見するもやっぱり姿は確認できない。休みなのかな。



それともあの女性の家から出勤するとか?

そう考えると胸が痛くなった。付き合おうとは言ってくれたけれどそもそも付き合っている感じがしない。



私と課長の関係ってなんなんだろう?お互いのメリットのためだけに結婚すると決めただけの結婚相手?



付けっ放しにしていたテレビを消して戸締りを確認する。お父さんはさっき窓越しで見送ったから後は出て行くだけ。



お気に入りのパンプスを履いてドアに手をかけてゆっくりと開けた。
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