極上エリートの甘美な溺愛


ショッピングモールからの帰り。

車内での玲華と将平は沈黙に包まれながらも、それを心地よく感じ、二人の気持ちは温かい。

玲華は、今朝将平の車に乗り込んだ時よりもずっとリラックスしていて、ラジオから流れる音楽を聴きながら小さく体を揺らしている。

そして、将平の隣で寛いでいる自分に不思議な感覚を覚えながらも、好きな人と一緒にいられることはこんなに幸せなことだと実感した。

これまで付き合ってきた恋人たちに対しては感じなかった思いだ。

将平も、助手席の玲華を時折ちらりと見ながら、それが嬉しくて緩んだ表情を隠そうともせず、のんびりと車を走らせている。

信号待ちで車が止まった時、玲華がふと窓の外を見ると、以前手がけた家が目に入った。

二階建ての寄棟のその家は、玲華が初めてメインで設計を任された思い出深い家で、上棟の時には感極まって涙をこぼした。

今では部屋に灯りがともり、広い庭には三輪車やおもちゃが転がっていて、それだけでその家の人たちが幸せに暮らしているとわかる。

その様子を見て玲華の顔はほころび、流れていく家を動き出した車からじっと見つめた。

「あの家ね、私が設計したんだ。そっか、あの男の子、三輪車に乗ってるんだな」
 
嬉しそうな笑顔を浮かべ、弾んだ声で呟く玲華を視界の片隅に捉えながら、将平もその気持ちがわかるように小さく頷いた。

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