君はガラスの靴を置いていく

└第一段階




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『………み、宮澤君、ちょっと速くない?』



いつも通り自転車を漕ぐその後ろで、糸井千花が慌てていた。

今まで何人も女の子を乗せた事はあるけどその中でも糸井千花は軽い。そのせいかスピードもどんどん上がっていく。



『そう?ってかちゃんと掴まってよ。危ないから』


糸井千花はどこに手を置いたらいいのか分からず、ソワソワしていた。

暫くして手が微かに腰のYシャツを掴んだけど、
やっぱりぎこちない。



『あれ~?宮澤先輩新しい彼女出来たんですか?』

『洋平、それ彼女?』


自転車ですれ違う奴等は勿論、同じ学校の生徒ばかり。後輩、同級生、先輩と全員に同じ事を投げ掛けられた。

その度に糸井千花はうつ向き、どこか恥ずかしそうにしている。



『ごめんね、気にしなくていいから』


そうフォローしつつ、実はちょっと気にして欲しい。だってこの状況で全く意識されないのも虚しいし


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