初恋はカフェ・ラテ色

デートの誘い

『心春! そうじゃないよ。怒っていたのは君にじゃない』
「じゃあ……ただ機嫌が悪かっただけ……?」
『機嫌か……今はそう言うことにしておくよ』

それもよくわからないんだけど……。

『で、痛む?』
「う……ん、お風呂に入ったとき涙が出るくらい痛かったけれど今は大丈夫。これから消毒して寝るね」
『心春、どこか行きたいところはある?』
「えっ!? 洋輔さん、突然どうしたの?」

いや、突然じゃないか。年に2回ほど、洋輔さんは私を行きたいところに連れて行ってくれる。

毎回カフェでお金を使わせてしまっている代償と言うか、その分どこかへ出かけて食事をご馳走してくれ、映画を観たりしてくれる。

それは兄が妹と出かける感覚でデートとは言えない。それでも私はたっぷり洋輔さんに甘えて勝手にデートをしていると思い込む。

それから数週間は幸せな気持ちが継続する。その誘いが今なのだろう。

『……デートしようか』
「デートっ!?」

呼吸が一瞬止まり、耳にあてていたスマホを落としそうになる。

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