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 (8)約束

本当は聞きたいことが山ほどあった。

でも、とにかく家に連れて帰ることばかりが頭にあって、帰り道には何も聞けなかった。

ハルは時々不安そうに見上げたけれど、余計なことを言って逃げられるのが怖くて、僕はただ黙って中途半端に微笑みを返すことしかできなかった。

だから、家に帰って玄関の扉を締めた瞬間、張りつめた糸が切れたように僕はハルを抱き締めた。

もう耐えられなくて、力を加減することなんてできなかった。

「くっ、苦しいよっ……」

「ごめん、でも今はこうさせて」

僕がそう言うと、ハルは肩を震わせ声をあげて泣き始めた。

本当はどうしたいのかを聞いた時、ハルは僕と一緒にいたいと言ってくれた。

僕と離れて辛かった?寂しかった?

「ごめん、辛かったよね?本当にごめん。もう絶対に離さないから」

しばらくそうやって抱き締めていたら、僕もハルも少し落ち着いてきたから、部屋に入って、足の間にハルを抱えたまま座った。

「大丈夫?」

「うん」

「じゃあ、まずはハルが何を言われたのか、から聞こうか」

ハルはしばらく黙って、僕をまっすぐ見て口を開いた。
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