キミとひとつになれたら

冷たい夜




憧れだった四ノ宮くんと、接近できたような、できてないような、そんな微妙な日の夜。




「何だよ、このクソ不味いものはっ!」


「っ……」



バシャっと、体にかけられたお味噌汁。

熱い……。


今日はご飯とお味噌汁と魚。

ヘルシーな和食にしたんだけど、



「てゆ―か、和食の気分じゃないんだけど……」


昨日は洋食にしたら、和食がよかったって言ったくせに。




ご飯を作るのは私の役目。


だけど兄は、毎日何かとご飯に文句を言ってくる。




「ったく、本当に役立たずなんだから。もういいよ、自分で作るから」


だったら最初からそうすればいいのに……。


毎日、こんな感じ。
こんな日々、ウンザリ。




「あんたは、しばらく外にいな。あんたがいるとご飯が不味くなるから」


そういえば、もうどれくらい“小春”って…名前を呼ばれてないだろうか。



最後に“小春”と、名前を呼ばれたのはいつだったか、今はもう……思い出せない。



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