美狐はベッドの上で愛をささやく

*・゚★。・*優しい手のぬくもり。*




 . ゜
。 。
 。





わたしが完全に目を覚ましたのは、夕方になってからだった。


ふと目を開ける、赤色の、眩しい太陽の光が部屋全体を照らしていた。





ここはどこ?




体を起こして左右を見渡すけれど、ここは父の家じゃない。


だって、父の家は和室で、ここはどうみても洋室だ。




クリーム色をした壁に包まれた部屋は、どこかあたたかい雰囲気をつくり出し、

窓からは夏の生ぬるい風が時折ふく。

そのたびに、真っ白いレースのカーテンがなびく。


わたしのすぐ隣には木目調のナイトテーブルがある。

下の棚には、洋書が3冊ほど並んであった。

地面は畳じゃなくって、モコモコしたカーペット。



……えっと、わたしは今まで何をしていたんだっけ?



視線を下へと向けると……。


父がこの世から去ってからずっと着ている喪服の黒が目に入った。


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