青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。
彼の好きな人
「…………え?」
射抜くようなトモの視線に、一瞬外の音が何も聞こえなくなる。
あたしはその言葉を、頭のなかで反芻した。
……『好き』。
トモが、あたしを。
……え?
言葉の意味を理解すると同時に、頭の奥が熱くなっていく。
目を見開いたあたしを、トモはやっぱりまっすぐに見つめてきた。
……うそ、でしょ。
「トモくん、麗奈ちゃーん!おまたせ〜」
利乃の声に、ビクッと肩が跳ねる。
「…え、あ、おっ、おかえり」
慌ててトモから目をそらして、こっちへ戻ってくる利乃と池谷くんのほうを向いた。
けど、心臓は未だにバクバクと音を立てていて。
…え、本当に?
本気?正気?
「じゃあ、行こっかぁ」
利乃の言葉で、あたし達はまた歩き出す。
あたしの後ろで、トモが立ち上がった。
それだけで驚いてしまって、なんだかもう後ろも向けない。
けど、トモは先へ行こうとするあたしの腕を、しっかりと掴んだ。