祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

5・隠された真実

「今日は久しぶりにサークルに行きましょうか」

「そういえば入学当時以来、サークル活動放置してたね」



日常生活に戻った5人。

未だに表情が冴えないキヨを気遣うカンナ。



2人は部室へと向かった。





「折角作ったサークルだけど、活動内容が定まらないんだよね」




部員はキヨ・カンナ・ケン、そしてサッカーサークルと掛け持ちのカゼの4人。

イノリは面倒くさいと参加しなかったのだ。




活動内容は自由となっているが、特にする事はなく、名前だけのサークル。


部室はただの憩いの場になっていた。




「ねぇキヨ。イノリと何があったの?話してくれないかな?」



カンナは椅子に座るキヨと向かい合わせに座り、話し掛ける。




「……カンナぁ〜!私、もうわかんない!!どうしたらいいかわからないよっ!」



キヨは堪えていた涙を流してカンナに抱きついた。





「イノリがねっ…好きだって言ってくれたんだよ?私…嬉しかったのに、なのにっ……私とは付き合えないって言ったの…なんで!?好きなのになんで付き合えないの!?わかんないっ…イノリがわからない!」



嗚咽するキヨの背中を優しくさするカンナ。



キヨにとってイノリは、一番近くて一番遠い存在になってしまった。


その事を痛感するカンナも、いつの間にか涙を流していた。
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